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秘密兵器開発ストーリー

2015年11月12日

秘密兵器開発ストーリー

これは、大型カットマシン、Kongsberg XL22に使うエンドミル(ルーター)の刃です。

30mm厚までのカルプ材をカットするのに使います。

写真一番右がアルミ用の既製品で、その隣が特注試作1号、2号、そして3号(完成品)です。

機械の購入当初、メーカーが用意していた刃は、30mm厚までカットするとなると、

6mm径の太いものだけでした。

ですが、実際にやってみると、切る文字がかなり大きくないと

6mmの刃では細かい部分に入っていけず、使い物になりませんでした。

機械メーカーにも相談しましたが、この分野に全くノウハウが無く、あてにならないので、

自力で特注することを決断しました。


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しかし、ここからが長い道程になるのです
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ネットで刃物メーカーを探し、電話して問い合わせると、

大手メーカー数社は、数本などという発注には全く対応できないと門前払い・・・

早くもノックアウト寸前でしたが、別のメーカーのサポート窓口から、

この業界は直販はしないものだと教えられ、

弊社のエリアから数件の問屋さんを紹介して頂きました。

今度はその問屋さんに電話してみましたが、

『何を切る刃ですか? え? カルプ? 何ですそれ?』

と相手にされず・・・・・・


めげずに電話し続けるうち、やっと現在お付き合いのある問屋さんが話を聞いてくれました。

そして、やってみましょう! と言ってくれたのです。

ありがとうございます!



後日、問屋さんと、刃物メーカーの営業マンと3人でカルプ材を見ながら相談しました。

彼らにとっては未知の材料なので、どんな刃の形状、枚数、角度にしたらいいのか

全くわかりませんでした。

弊社が現状所有している機械メーカー純正の刃を参考にしたのですが、弊社の希望は

『刃長35mm、刃径3mm』

という細長いものでしたので、現状のものとは難易度が比較にならず、

その形状はあまり参考にはならなかったようです。

それでも彼らなりのノウハウで試作1号が完成。

1本ではテストにならないので、5本オーダーしました。
(敢えて言いませんが・・・・とってもお高いです・・・)

期待に胸を膨らませ、カットを開始します・・・・


ボキ・・・・・・・・・(沈黙)


あっさりと折れてしまいました。


毎分50,000回転という高速で回転していますが、

超硬刃とはいえ、3mmという細さで横に移動しながら切削するとなると、

刃にはかなりの負荷がかかっているはずです・・・


折れた刃を見ながら問題点について協議・・・・・


そしてまた後日


試作2号が完成。
(重ねて言いますが・・・・今回もお高いです・・・)

今回は刃の深さを浅く変更。これにより強度が増しているはず。

ウイーーーン(カット開始)

キィイーーン(おおー!切れているぅ!)

ボキ・・・・・・・・(沈黙)&(冷汗)


『無理じゃないですかね、この形状じゃ』

と、早くも逃げ腰&投げやりな態度に出るメーカー・・・・・


ここからしばし、もう投げ出したいメーカーと半分喧嘩腰な私の攻防が続き・・・・


何とかもう一回やることに。


但し、仕様的に限界なので、若干の形状変更を余儀なくされました。

加えて、今回の刃では少しの間切れたので、切り口の様子が確認できました。

それを見て、刃の角度を少し変更した方が良いとの提案がありました。


そしてまた後日。

試作3号が完成。

テストの結果・・・・・・

OKを出すことができました!!!!

三者共、思わず天を仰いだ一瞬でした(大袈裟)

いや、ホッとしました。

やっとカルプ文字のカットを仕事にすることができるようになった瞬間でした。




この日から約8年の月日が流れ、この刃は現在、

お陰様で同じ機械を持つ他社さんにもご購入頂いております。

持ちもいいので、バックオーダーの頻度は低いですが、

問屋さんにもメーカーさんにも変わらずお付き合い頂いております。

先日も記事にしましたが、別の案件用の特注刃も製作して頂きました。
(こちらは一発OKでした)



と、以上が開発ストーリーですが、文字にしてみると簡単ですね。

実際は冷や汗連続の、先の見えない孤独な戦いでした。

今となっては笑い話ですけどね。

ではまた!