かつてはライオンボードと呼ばれていた素材で
ポリオレフィン系樹脂の発砲体がその正体です。発砲体といっても発砲倍率が低いので、密度があります。詰まってるわけです。
緩衝材にも使えるので固くはありませんが、ふわふわでもありません。
身近にあるものだと何がイメージしやすいでしょう?低反発枕のもっと固いやつ?
用途としては我々のお業界では切り文字が一般的ですが、世間ではコスプレの材料、つまり造形の素材として使われていたりします。
適度な固さがあるので、カッターで削いだり、熱を加えて曲げたりできるので加工しやすいからだと思います。
それでいて、屋外での耐候性があり、塗装も可能なので重宝されているわけですね。
業界裏話としては
ライオンボードというのは固有の商品名なのですが、現在は販売されていません。ええ??どういうこと? たくさん使われているじゃない?
実は過去にライオンボードを生産していたメーカーの工場が火災で焼失してしまい、ラインボードは作れなくなってしまったのです。
だったら機械をもう一度作って再生産すればいいだけじゃない?
確かにそう思いますよね。でもそれが出来ないんです。
この手の話はライオンボードに限ったことではなく、例えば製紙業界でも同じような例があるんです。
生産機械というものは、同じ機械であっても個体ごとに独特の癖のようなものがあり、完成品が異なります。
東日本大震災で浸水被害にあった製紙メーカーの工場には複数の製紙機械があったのですが、機械ごとに仕上がりが異なり、その個性を生かして、雑誌のグラビア用とか、何々用とかに割り当てていたそうなのです。
ところが浸水被害で機械がダメになってしまった。生き残った機械で作ってみたものの同じ紙が作れず、途方にくれたという話をドキュメンタリーで見ました。
ライオンンボードも然りで、新しい機械では同じものは作れず、品名を変えて販売しているというわけです。
現在はコーヨーソフトボードという名称です。
他メーカーでも類似品はあるのですが、やはりトップメーカー品が優れていますね。
話を戻しましょう
切り文字に使う場合は、このソフトボードに塩ビの板(厚さ0.8mmから2mm程度)を表裏に貼り合わせたものを使います。アルミ複合板を貼り合わせた商品もありますが、塩ビの方が一般的です。
表面にカッティングシートを貼って色表現をするか、側面(木口)も含めて全塗装したりして使います。
軽いので、設置には両面テープを用いることが多いです。
両面テープに関しては別にコラムを書いているので、参考にしてみてください。
そんなわけで、比較的簡単に立体的な文字表現ができるため、ショップのロゴサインなどに使われることが多いです。
厚みは15mmか30mmが多いですね。
断面の雰囲気がわかる写真を貼っておきます。これは文字を切り抜く逆をやってます。文字を彫ってます。
ではまた。